東京北区・T邸

1.模型

敷地は湾曲した道路に面した少し変形した敷地。敷地に合わせ駐車場や中庭を確保するため、配置・平面・外観などについて非常に多くの検討が行われた。写真は2番目くらいの模型、いわゆるホワイトモデルでボリュームや外形の検討を行うためのもの。

2.外観CG

およその計画がまとまった段階から検討方法は模型からCGを主力にした。湾曲した道路に対してどのような表情を持たせるのかということに随分と多くのアイデアとデザインが提案された。その一つ植物を使った「緑の壁」案のCG。メンテナンスの不安などから見送られた。

3.最終外観模型

一年をオーバーして計画案がまとまり、実施設計を終え工事契約となった。道に沿った木の曲面壁が建物と中庭をつくる、いわゆるコートハウスの形式の住宅になった。

4.着工&基礎工事

残念なことに地盤があまり良くなかったので、地盤改良工事をおこない、その後基礎工事となった。木造住宅の場合には標準的にベタ基礎形式にしている。

5.建て方

木造の建て方。大工さんと鳶さんとが中心になって手際よく工事が進む。多くの木造住宅ではプレカットと呼ばれる工場加工が用いられるようになったが、この住宅では材料や形状の関係で大工さんの手加工でお願いした。

6.完成外観

道路から見た外観。木の曲面壁が道行く人に印象的を与える外観となった。中庭などが暗くならないように開けた穴でリズム感を出している。

7.玄関回り

玄関回り。外壁は同じ色の材料を下の方だけ櫛引にしてナチュラルな感じを出す。玄関ドア脇のインターホンを組み込んだネームプレートと手前の木の壁の表札プレートは設計者がアルミの筋板という材料でつくった。

8.玄関内部

基本的な内装材として1階はシナベニヤを挽き割って自然な風合いの木質空間に、2階は珪藻土の左官仕上げで明るく柔らかい感じの空間を指向した。右手は和室の入口、ちょっと高価な材料だけれど襖に江戸唐紙を使う。

9.ロフトへの階段

この住宅の中心となるコンセプトは子供がのびのびと育つ空間づくり。その中心となるのが二階の広間と吹き抜けで繋がる上部のロフト。ここに設置する階段は当然のことながら重要な要素で、デザインは施工中にもずっと検討された。ちょっと箱階段風の収納を持った階段となった。

10.広間

完成した広間と階段。左手の三角形は筋交いの空間を生かした手洗い。天井は大きなスパンをツーバイフォー用の梁で飛ばし、その梁を現して仕上げた。

11.ロフト見上げ

広間の階段からロフトを見上げたところ。奥がキッチンでその手前がダイニングになるところ。ロフトは低く広間と一体になるように高さ寸法を調整するのに苦労する。吹き抜けには設計者自作の4つの照明器具が吊り下げられる。

12.ロフト

半円形状の断面を持つロフト。木造住宅だけれど構造的にしっかりとしたものにするため、ここには鉄骨のR梁を使った。図書棚がある運動場みたいな子供の空間。

13.1階の洗面廊下

洗面所はつくらなかった。脱衣室を兼ねた洗面所というのではなく、1間幅の広い廊下に2.7mの大きな洗面台を壁にデザインを合わせて製作する。右奥に洗濯と脱衣のスペースがある。中庭からの朝の光がある明るい洗面空間が実現した。